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第一回目の今回は民が主体となり県教委が裏方に回るという形。全体の司会は子供支援財団が、開会の挨拶はフリースクール・ぱいでぃあが担当した。
当初は3部構成であったが、第一部は、「不登校を振り返って、今思う」と題してのパネルディスカッション。コーディネーターはNPO法人ピアサポートネットしぶやの理事長・相川良子氏。パネリストに生徒側から2名、保護者側から2名。
第二部は、相川良子氏の講演「子どもが学校に行かないとき」
第三部は各種情報提供、緒連絡に切り替えました。
開会の挨拶では、簡単に会の次第を説明した後、次のようなことを述べさせてもらいました。
■不登校ってなに?
せっかく「不登校」という貴重な体験を得られたわけですから、それをマイナスに捉えず、もっと生産的に考えていただきたい。「人間が体験するものでマイナスのものは一つもない」とも言います。
そこで、改めていい機会です。もう一度原点に戻って、「不登校ってなんだろう?」「学校ってなんだろう?」「教育ってなんだろう?」って考えてみませんか?
ルソーによれば、「人間は二度生まれる」と言います。一度は生物学的な誕生として、そして二度目は人間になる営みとして。そして、この人として生まれたモノが人間になるための営み、それが「教育」であると。
ところが、日本の学校教育では、「教育=学校へ行くこと」とされています。「不登校」という言葉もここから生まれました。ですから、日本では「不登校の子」=「学校に行かない子」=「教育を受けていない子」と見做されることになります。でも、本当にそうでしょうか?
■学校ってなに?
学校ってなんでしょうか?テレビで問題を起こした学校の校長先生がこう仰るのを聞いたことがあります。「学校は勉強をするところである。学校は社会性を身に付けるところである」と。でも、その学校から問題が起きている。先生が問題を起こしていることもあるけれども、大抵は学校の生徒です。
本来、「学校は子どもが主人公である」はずです。ところが、その学校から「自分はもう耐えられない、もうここでは生きられない」と言って去って行く。それはもう学校というところが児童・生徒のための場ではなくなっているという「学校教育の危機」を身をもって示したサインなのではないか?
それをただ「子どもが変だ」「子どもがおかしい」「子どもをなんとかしなければ」という考え方だけでいいんでしょうか?
ぶっちゃけた話をすれば、日本の近代教育が始まってまだ百数十年、明治5年の学制発布があってからの話で、その近代国家国民教育が国民をどこへ連れて行ったかは皆さんご存知の通りです。
それ以前には国家国民教育はないのです。では、そこには教育がなかったかというと、奈良・平安の昔から連綿と続く民間レベルでの教育がありました。日本が世界に誇る女流文学も、平家物語や松尾芭蕉の俳諧も、みなそういう民間教育の土壌から生まれたものです。明治の学校教育が始まる前、日本には国家による学校よりも寺子屋の方が多かったとも言います。
■皆さんへのお願い
そこで皆さんにお願いがあります。
今回、第一部の「パネル・ディスカッション」では、4名のパネリストの方々にお話の不登校体験や言わば脱不登校的な成功体験の事例や、もしかして未だに引きずっている思いなどの発言が出るかも知れません。またをしていただきますが、生徒の方々や保護者の方々から、かつて、保護者の方からはそういうお子さんに付き添い共に歩んできた伴走者としての思いや今まさにその渦中にあるお子さんと今後どう道を切り開いて行こうかと思われている方もいるかも知れません。そういう大変なプレッシャーのかかる中、今回のご協力、改めて感謝申し上げます。
みなさん、どうかそういう様々な個別の思いをお聞きください。人の顔や声がみな違うように、不登校になった事例も人様々です。その個別の思いを受け止めてください。それが多様性の中で互いの個性を理解し合う第一歩だと思います。
と同時に、その語りの個々の言葉に固執もしないでください。その個々の声を通して、その声の向こう側から響いてくる声なき声に耳を傾けてほしいと思います。そこにこそ、容易に言葉には置き換えられない深い思いが秘められているはずですから。
学校教育も今、かつての「教え → 覚える」の形から、アクティブ・ラーンニングという学習者自身が学びの主体となって考え、解決の方法を見出だしていく方向に目標が変わりつつあります。「まず隗より始めよ」と言います。その事を、まずこの会に参加されたみなさんが実践してほしいと思います。
■「知識」から「行動」へ
今日、この会場にお集まりいただいた方々は、「こういう不登校状態を何とかしたい」という思い出来られた方々が多かろうと思います。
でも、思っているだけではモノゴトは何も変わりません。もし、変えたいと思ったらどうするか。自ら動くしかないのです。自分の周りの風景を変えたければ、単に風景よ変われというだけでなく、自ら動くことです。今の不登校という状態を変えたいのであれば、変えるための行動を自ら起こすしかないのです。
でも、「そんなこと言われたって…」と思わないでください。今日、この会場に来られたということは、みなさんは既に変えるための重要な第一歩を踏み出されたということです。ぜひ、その歩みを止めることなく、さらに前に向かって歩き出してほしいと思います。そうすれば、そこから必ず次の展望が見えて来るはずです。
それでは、これから、第一部を開始させていただきます。よろしくお願いします。