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 個人と集団の問題はフレネ教育の根幹にあります。「イニシャチブ」の活動もその一つ。イニシャチブとは個人がみんなのために、学校のためにというように、誰に命令されることなく個人が集団のために自主的に行う活動のことです。個人の存在はオンリーワンとして尊重されますが、個はまた集団とも繋がっています。むしろ個人は他と繋がっていてこそ輝くのだと言えます。これがフレネ教育法の真髄です。こうして社会的な対人関係能力が自然に培われて行きます。
個人と全体の調和と響きあい
「フリースクール・ぱいでぃあ」での活動と学びの中で、難しいけれど自己と他者との関係、個人と集団との関わり合いの問題は、とても大きなテーマです。人は一人では生きられません。でも、個人は集団に完全に従属しているわけではありません。個人にはそれぞれの生命の輝きがあり、固有の色彩や音色があります。絵画が美しいのはそれぞれ固有の線や色が生きているからです。オーケストラの響きが美しいのは個々の楽器の音色が冴えているからです。
個々の特性が活かされてこそ全体や集団の内実が豊かになります。
 
Play-Study-Work…自分は自分でありながら、どれ一つとして他者に拠らないものはありません。また、全体はどれ一つとして具体的な個に拠らないものはありません。そこには互いに協和し響きあう関係があります。
他者の中の自分 自分の中の他者
共に活きて活かされて

── 絵画表現を通して─

互いのすてきな表現や技法を交換して
わたしの良さがあなたの絵で活かされる
あなたの良さがわたしの絵に活かされる
ひとりではとてもできないこと
妖精1 妖精2 妖精1+妖精2

自由と制約の中で
 自由は個人が自分らしく生きる前提条件です。しかし、自由とは放縦でも勝手気ままでもありません。まして、天から無条件で与えられたものであろうはずもないのです。それは長い闘いの歴史の中で勝ち取られたものなのです。
 何もせず、何の関わりも持とうとしないところに自由はありません。それは自由という名の煉獄に等しいものです。条件や制約を受け入れ、それを選択した行為の中で自由は輝きを発揮します。自由が生かされるのはそういう時。個性が輝くのはそういう時です。

卒業制作から なんでもありの自由ではなく   
  それぞれの条件や制約の中で
    オリジナリティーは発揮される
 

様々な現実の条件の中で人は生きる
条件に自ら挑み、それを乗り越えた時
人は自分が一つ成長したことを実感する
条件の中でこそ人は個性を発揮する
課題紙クラフト制作