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《生きる喜び・学ぶ楽しさ》の実践活動
■自信回復とコモンセンスの体得
 「ぱいでぃあ」にやってくる子どもたちの不登校の状況やその背景は一人ひとりみな違いますが、どの子をもありのまま受け止め、その子の個性を尊重することから始めます。そして、安らぎや癒しを得られるだけでなく、人として生かされる活動や学びを通して自信を回復し、自尊感情を養い、他者との信頼や交流の関係を築き、自己実現に向けて力強く羽ばたいて行けるように支援します。将来バランスの取れた社会人として成長していくためにも“コモンセンス(社会感覚)”の体得は必要不可欠です。

■行動や体感を通した理解
 調和の取れた人間になるために知識による理解も大切ですが、それ以上に生身の身体を通した体感的な理解はもっと大切だと考えています。
 そのため、絵画・造形・工作・音楽・調理実習・生活の科学・社会考察・体験学習・野外活動・研修旅行・スポーツ(テニス・卓球・バトミントン、サッカー、ソフトボール、キックベース、ポートボール等)・散策など、
座学やペーパーテストだけでは得られない身体的・感覚的理解を通した学びを大切にしています。

■ぱいでぃあ会議…自分たちの活動は自分たちで
 「ぱいでぃあ会議」とは月に1度程度開かれる、子どももスタッフも一堂に会して話し合う会議・集いのことです。
 そこでは日々の活動の中で気づいたことや感じたことなどを話し合ったり、一人ひとりが今までの自分を振り返ったり、自らの問題をみんなにカミングアウトすることにより、
自分という存在をより良く人に分かってもらう場とすることもあります。また、フリースクール全体の活動もここの話し合いで決めていきます。
 参加者はみな「ぱいでぃあ」の一員として平等の発言権を持ち、同時にその役割や責任も分担し合います。
ここでは子どもたち一人ひとりがぱいでぃあの活動と学びの主人公なのです。ここで決まったことは、自分たちの出来る範囲で自分たちの意思に基づいて行動し実践して行くことを目標としています。

■引きこもりに移行させない予防教育
 学校に行けなくなったということで自分に自信を失くし、生きる意欲を失い、人と関わることが怖くなったというような子どもたちが近年たくさん出てきました。そういう子どもたちに再び自信を与え、生きる力を育み、自分で考え自分の力で解決する能力を養い、人と交わったり交渉したりする能力を回復させることは、フリースクールに課せられた大きな使命だと考えています。
 そしてまた、その関わりは掛け替えのない自分の人生の可能性を切り拓き、さらに
「ひきこもり」に移行させないための予防教育としても大きな意味があると考えています。中には不登校から長期の引きこもりへ移行し、うつ病やパニック障害、境界型人格障害などを患い、出口なしの状態に陥るケースも珍しくありません。
 そこで,
望ましい子供たちへのかかわり方など不断の探究をしています。